【村上輝康(代表)の最近の活動】

村上輝康の活動 2022年3月7日~9日 サービス学会@東大

 

私にとっては、怒涛の3日間だった。3月7日に始まった東京大学伊藤謝恩ホールでのサービス学会の国内大会は、記念すべき第10回を迎えた。初日には、おそらく最年長発表者として、「価値共創のサービスモデルにおける利用価値共創の仕組みの創り込みの事例分析」という長めのタイトルの論文発表を行い、二日目は、1年半以上にわたって支援してきたサービス学会が主宰する研究開発プロジェクト「COVIT-19対応研究」の最終発表に研究評価委員の1人として登壇した。そして三日目は、初めての試みである一般公開プログラムのサービス学会とサービス産業生産性協議会の連携による「日本サービス大賞セッション」に、日本サービス大賞についての講演と関連のパネルディスカッションのパネリストとして参加した。

東大の新井先生の呼びかけに応じて、学会創設の会合に小寒い中、本郷の並木道を歩いて向かったのを今も覚えているが、あれからもう10年という感慨があり、10年前の京都での設立総会の特別講演で初めて発表した、サービスイノベーションがどのように起きているかを示すサービス価値共創フレームワーク(いわゆるニコニコ図)が、10年後、サービスイノベーションをどのように起こすかを示すフレームワークである価値共創のサービスモデルに進化したことを報告する意味で、論文発表をすることは前々から考えていたが、その後、一般公開プログラムの話が出て、直前にCOVID-19研究発表が加わった。久々の3日連続の登壇には疲労困憊した。

文理融合でマルチディシプリナリーな国際学会としてスタートしたサービス学会は、当初は、あまりに多様な視座にどこへ向かうのか予想がつかない感じもあったが、10年たった今、サービソロジーとしてのひとつのスタイルが出来上がってきたように思うし、そのテーマにもアプローチにも成熟の兆しを感じることができる。単なる顧客満足の研究だけでなく、そこを突き抜けたDelightを顧客の中に生むメカニズムの研究、人間拡張技術がもたらす新機能を明らかにするだけでなく、それが働く人のウェルビーイングや少子高齢化社会の行方を考えさせる研究、コロナ下での観光マーケティングにおけるインフルエンサーの果たす役割の研究や、ウェアラブル脳波計やリビングラボを普通に使いこなす研究等、価値共創を強く意識するサービス学会でしか展開されそうにない、産業にとって有用な高い問題意識を持つ研究が続々と出てきている。

疲れはしたが、この10年というものの確かな歩みを感じることができた、ウェルビーイングな3日間だった。

村上輝康の活動 12月27日 サービスイノベーション実践コース

者も会社も良く存じ上げている日本生産性本部メンバーの優良サービス企業7社から10名のぴかぴかの企画担当の部課長、執行役員クラスを出してもらい、「サービスイノベーション実践コース」という研修コースを、「価値共創のサービスイノベーション実践論」の出版直後に立ち上げ、経営共著者の松井拓己さんと共に実施してきた。10月から12月までの約2か月間、完全オンラインの全5回の研修を完了して、ほっとしているところである。

10月8日に出版された「価値共創のサービスイノベーション実践論」は、「サービスイノベーションは、実践の現場で、どのように起きているか」を明らかにするだけでなく、その理解の上にたって「サービスイノベーションをどのように起こすか」という課題にもチャレンジしている。その結果、この本をシリアスに読み進むことにより、読者は自分の会社のサービスイノベーションの基本構想案を生み出せるように設計してある。それが実際に可能かどうかを、簡易な形ながら、実証してみたわけである。

この2か月、終わってしばらくは何もしたくない程、疲労困憊したが、全員から出そろった「改善」「改革」「創造」の3つのサービスイノベーション案と最終案の実行シナリオを前にするのは、何物にも替えがたい程嬉しい。本当の実証は、それらのサービスイノベーションが実行されるまで待たなければならないが、サービスイノベーションの基本構想案まではたどり着けることは分かった。

このサービスイノベーション実践コースの研修プログラムの構想は、昨年10月の日本サービス大賞の表彰式が終わってすぐ、この本の7人の著者と一緒にサービス産業生産性協議会内に立ち上げたスマート・サービスイノベーション研究会で検討しはじめて以来であるから、ほぼ1年かけて準備してきたことになる。

それが終わってほっとしたのもつかの間、第4回の日本サービス大賞の応募が締め切られた。コロナ下での応募だったので、今回はかなりの応募数の減少が見込まれていたが、どうもそうでもないようなのだ。サービスイノベーション三昧の日々は、年を越して、まだ続いていきそうである。

村上輝康の活動 10月8日 「価値共創のサービスイノベーション実践論」を生産性出版より出版

この10月に出版予定の新しいサービスイノベーション/サービソロジー関連の本のタイトルが「価値共創のサービスイノベーション実践論」に決まり、表紙も素敵なデザインにしていただき、Amazonの予約サイトでも掲載が開始された。

 この本は、2020年10月に表彰された第3回の日本サービス大賞の受賞企業の中から大臣賞受賞企業を中心に17社を選定し、その事例分析を縦糸にし、価値共創のサービスモデル、いわゆるニコニコ図のフレームワークを横糸に通して、「サービスイノベーションは、どのようにして起こっているか?」という問題を、私とサービスコンサルタントの松井拓己さんが編著を行い、筑波大の岡田先生、産総研の竹中さん、野村総研の三崎さん、日本生産性本部でコンサルタントとして活動している大舘さんと山藤さんという、1年半日本サービス大賞の審査で行を共にした7名で取り纏めて、サービスイノベーションの構造とメカニズムを明らかにしたものである。

 本書では、さらに、その分析結果をもとにして、「サービスイノベーションをどのように起こすか」という課題にも切り込んだ。

 結果として、読者が本書を読み進む中で、自分の会社のサービスイノベーション実践の基本構想をイメージできるようにする設計にしてある。

 実は、本日、学術会議のサービス学分科会というところに「サービス学に対する産業界の期待」というテーマでの講演を依頼され、2時間余りの講演と質疑応答を行ってきた。せっかくなので、時間の3分の1位は、この新著「価値共創のサービスイノベーション実践論」の内容を紹介することに使わせていただいた。もちろん学者の世界なので、気に食わない方もおられたと思うが、参加者の間で内容は良く理解されおおむね好評という印象を得た。とにかく、現在の日本のアカデミックスの世界のサービス研究の最高権威が集まっている場なので、そういう印象を持てたことは、本書の今後にとっても幸先が良い。

 本書は、10月8日に発売されるが、今月末には見本があがってくるそうである。写真でしか見てない本書の装丁を見るのが楽しみである。

What's New

2022年3月30日

ムラカミロジー(5)「サービソロジー・ネイティブの誕生」がサービソロジーWebマガジンで公開されました。

2022年3月9日

村上輝康が、サービス学会の一般公開プログラムの「日本サービス大賞セッション」で、日本サービス大賞についての講演と関連のパネルディスカッションのパネリストとして参加しました。

2022年3月7日

村上輝康が、東京大学におけるサービス学会第10回国内大会で「価値共創のサービスモデルにおける利用価値共創の仕組みの創り込みの事例分析」という論文発表を行いました。

2021年10月~12月

村上輝康が、日本生産性本部のサービス産業生産性協議会において、「価値共創のサービスイノベーション実践論」をテキストに用いて、「サービスイノベーション実践コース」という研修コースを、上場企業のサービスイノベーション担当者10名を対象として実施しました。

2021年12月20日

村上輝康が審査委員長をつとめる日本生産性本部サービス産業生産性協議会の第4回日本サービス大賞の応募が締め切られ、これから2022年秋の表彰にむけて審査活動が行われます。

2021年10月8日

村上輝康が、松井サービスコンサルティングの松井拓己氏と共編著で、生産性出版より「価値共創のサービスイノベーション実践論」を出版しました。

2021年6月17日

村上輝康が、日本生産性本部の理事に就任しました。